実家に遊びに来てくれたEさんが泣いていた。
「何十年もここで生きていた人が、たった数ヶ月で消えてしまうわけがない。そこらじゅうに感じるよ」と、会ったこともない父のために泣いていた。
生きているか死んでいるかのちがいは、会えるか会えないかのちがいでしかない。僕はそう思っている。だから悲しい。死んでしまった人とは絶対に会えない。この絶対的な悲しみはなくならない。
だけど、会えないけど、消えてなくなったわけではない。Eさんが感じたようにこの家のそこかしこに気配が残っているし、家族の中、僕自身の中にも消えない存在として残っている。
Here, there, and everywhere.
そしていつかまたきっと会えるような気がしている。