先週末に所用で立ち寄ったとある街の、駅前の古本屋さんが素晴らしかった。品揃えといい値段といい、ああっ、もう一度ゆっくり見に行きたい。しかし遠い。
そこで買った高野文子の『棒がいっぽん』という作品集がいい。短編を一話読むとちょうどいい具合に眠たくなるので、少しずつしか読み進まない。
今日読んだのはまだ二話目「病気になったトモコさん」。
この人はなぜこんな子どもの頃の感覚を忘れずにいられるのだろう。多くの人が忘れてしまうが、しかしなくしたわけではない風景。窓から知らない町の夜景を眺めたときのわくわく感と、少しのさみしさ。そんなものを思い出させてくれる。
受け手の中に眠っている可能性に触れること。それが表現するということ。