高校生たちが「なぜ人を殺してはいけないか」と話していた。
わー典型的ーと思いながら会話に加わるタイミングを待っていたのだけれど、残念ながらその話題はあっさりと終わってしまった。
僕の父が生前話していたことを思い出す。
「なぜ人を殺してはいけないか、という問いには答えられん。私は目の前のおまえを殺せるか?という問いから始めるしかない」
考えに考え抜いてたどり着いた答えだろう。そうやって自分の中に問い続けた言葉を、時々ぽんとぶっきらぼうに投げてくるようなところがあった。反応の悪い息子を物足りなく思ったかもしれない。
そして僕は折にふれて父の言葉を思い出し、それを道標に物事を考えている。