現代日本のポップスというと僕は相対性理論くらいしか興味がないのです。「LOVEずっきゅん」や「地獄先生」のPVのわけのわからなさ。こいつらデキると思った。エサに飢えた商業メディアに消費されてたまるかという今どきめずらしい気骨と知恵のある戦略的な集団だと思った。
あるレビューに「まるで新しいことをやっていないにも関わらず、斬新な音に聴こえるという奇跡的な特性」とあってなるほどな、と。実際『シフォン主義』の衝撃はすごかった。『ハイファイ新書』の中毒性も強かった。『シンクロニシティーン』までくるとさすがに耳が慣れてきたというか、ああ理論やなと思って軽く流してしまうけどそれでも僕は好きですよ。
この人たち、他人とコラボするといまいち評判がよくないようです。ファンとしては純粋に理論の世界を楽しんでいたいわけで、サブカル界や職業音楽家らとかかわることで彼らに余計な属性がついてしまうのではないかという心配、よくわかる。
個人的には『アワーミュージック』はいいと思います。理論の世界とはちがうけど、とても美しい。やくしまるえつこの歌声だけでも聴いていたい僕のようなリスナーにとっては価値ある一枚です。
しかしすっかり売れっ子になりましたね。彼女のソロ活動の中では『神様のいうとおり』は好きだな。いっしょにやってる人らには全然興味ないねんけどな。もう時代がその存在を求めているのだから仕方ないが、才能の無駄遣いのように感じてしまうところもあります。
次のアルバムはリミックスかあ。コーネリアスとか坂本龍一なんて名前が挙がると嫌な予感しかしない。だってめっちゃくちゃ主流の人らですやん。おいしいところには絶対出てくるなあ。僕も典型的なファン心理に陥ってるのかもしれないが・・・消費されはじめてるよ、と。