いろんなメディアを見ていて思ったんですが、政府がいちばん危惧しているのはやっぱり経済みたいです。だから東京の停電であれほど大騒ぎする。数時間でも停電すると大変な経済的損失があるそうですね。
避難範囲を拡大すれば避難民が首都圏に流入する。さらには首都圏からも避難しなければならないような事態になれば日本経済自体が麻痺する。だから避難指示も後手後手に回る。できれば避難させたくないというのが政府の本音でしょう。
昨日の原子力資料情報室の会見では、今後政府が緊急事態宣言を出すとすると、その時点ですでにその圏内の住民は被曝しているそうです。逆にいうとそこまでの事態にならないと政府は緊急事態宣言を出さないということです。
政府やマスコミが情報を隠蔽・統制しているのかどうかは知りませんが、少なくとも海外からも含めてインターネットを通じて入ってくる情報よりは断然少ないです。現時点では福島原発から20km避難指示、30km屋内退避指示に留まっていますが、海外の大使館はもっと広範囲の避難指示を出しています。救助隊ですら待避したところもあります。
テレビだけを見ている人と、インターネットで積極的に情報を集めている人とでは危機感にかなり差があると思います。被災者にこそもっとも迅速に必要な情報が伝わるべきで、そのためには政府が発表するしかない。だけど政府が見ているのは被災地ではなく日本経済、もっというと東京なのではないかという疑念がぬぐえません。もちろん経済は重要だけど、優先順位の付け方がおかしいのではないかということは言わないといけないと思います。
ここ数日で多くの個人発信の情報も見ましたが、東京のサラリーマンの言う自分たちが日本経済を回している、自分たちが日本を支えているという意見にカルチャーショックを受けました。自分が逃げたら日本が終わると本気で思っている人がいるらしいです。東京のサラリーマンというと僕にとってはもっとも遠いイメージのあるタイプの人たちであり、彼らの価値観はちょっと理解しにくい。ある面ではその通りでもあり、ある面では思い上がりでもあり、僕個人の価値観で正直に言うと不幸なアイデンティティだなあと思います。
もっとも、東京のサラリーマンがみんなそうだというわけではありません。中には仕事を休んで(あるいは辞めて)自主的に避難したという人や、自分は仕事を休めないけども家族だけは逃がしたという人もいました。僕はこういう人たちが人間らしいと思います。
だけど逃げたくても逃げられないという人もいる。同調圧力という言葉も今回はじめて知りました。本当は逃げたいけど、会社もやっているし周りも誰も逃げないので逃げられない。そういうのを同調圧力というらしいです。この人たちは政府が避難指示を出さないかぎり逃げられないのです。そして避難指示が出たときはもう手遅れかもしれません。