リア充」と「非リア充」というネット用語が出てきたとき、僕はけっこう斬新で面白いなと思った。
リア充」というのはつまりリアルが充実している人のことだ。社会人や学生といった社会的立場があり、その中で積極的に活動し、プライベートでもアウトドアな趣味をもち、おしゃれでコミュ力があり友達も恋人もいるようなタイプのことを指す。
「非リア充」はまあその正反対のようなタイプだと思えばいい。
この言葉は「自分はリア充だ」という使い方をすることはあまりない。あくまで「非リア」の側からの多分に羨望と幻想と諦めを含んだ理想像としての「あいつらリア充だよな」という使い方である。結婚が究極のリア充的行為とみなされているのも、自分が絶対にできないことだと思っているからだ。つまり「充実」を体験したことがない(と思っている)からイメージが狭いのである。実際はリア充に見えるやつが充実を感じてるかどうかなんて本人にしか、あるいは本人にもわからない。
そういう限界もあるにせよ、僕がこの言葉を好んで使うのは、全然パッとしない自分を非リア充と定義することである意味楽になれるのではないかと思うからだ。これまでネクラとかオタクといったネガティブなイメージの強い呼び方しかされてこなかったタイプの若者が手に入れた、おそらく初めての肯定的なアイデンティティなのではないかと思う。
で、こういうことを書くときは自分の立場をはっきりさせたほうがいいわけだが、僕は自分がリア充とも非リア充とも思わないし、どうでもいい。ただ、どっちかと言うと「リア充ウゼー」と書き込む側に共感することが多いのはたしかだ。